毎年の決算期になると企業が準備する資料に「開示書類(資料)」というものがあります。開示という内容ですのでなにか有益で重要な情報が掲載されている感じですね。企業が多くの投資家から幅広く出資をしてもらうために、企業の業績や財務状況を正確に作成し、伝える必要があります。そのため「開示資料」は企業と投資家の信頼性を作る非常に重要な資料となります。今回はこの「開示書類」についてその種類と作成のルールについて解説していきます。
「開示書類」にはどのような種類があるのか?
「開示書類」の種類を解説する前に、「開示」行為そのものには3つの種類があることを先に説明します。それぞれ何を(法律?取引所?)根拠に開示行為をするかで名称が変わってきます。
・法定開示 →金融商品取引法と会社法にもとずく開示行為
・適時開示 →証券取引所の定めによる開示行為
・任意開示 →各企業が任意に広く投資家の信頼を得るために行う開示行為
例 : IR(インベスター・リレーションズ)活動など
開示行為が数種類ある理由としては、法定開示のみでは、刻々と変わるビジネス状況とそれに連動する企業の財務状況の把握、公開が遅れてしまう可能性もあります。そのようなことを避けるために、重要な企業情報や財務状況を適切なタイミングで投資家に開示し、投資環境の促進を図るため「適時開示」が必要になってきます。
また、最近企業が力を入れている「任意開示」の中のIR活動においては、企業自らの自己責任で自主的に行われており、多くの企業のホームページ等の媒体で、開示情報を見ることができます。このように企業が率先して「開示行為」を行うことで、企業と投資家の間に密な信頼関係を構築することができることになり、証券市場での評価を高めるのに役に立つことができます。
次に、法定開示と適時開示の際に発行される<開示書類>に関して、各書類の名称や根拠となる法律、内容などをまとめてみました。発行される時期や内容などに注目してみてください。
開示書類の名称 | 根拠となる法律や依頼元 | 提出時期 内容 目的など |
有価証券報告書 | 金融商品取引法 | 事業年度の終了後、3か月以内に提出。監査人による報告書の添付必要 |
四半期報告書 | 金融商品取引法 | 四半期決算後45日以内、監査人か公認会計士にうよるレビュー(四半期レビュー)必要 |
計算書類 事業報告 | 会社法 | 定時株主総会にて報告必要。すべての会社に作成義務あり。 |
決算短信 | 証券取引所 | 四半期決算後45日以内。証券取引所として投資家に広く企業情報を知らせる目的で作成 |
内容をよく見ると、名称は違いますが同じような内容を記載している書類もあります。(四半期報告書と決算短信など)。また書類発行の目的としては、どの書類も広く投資家に企業の業績状況を公平にかつ正確に公表することとなっています。
これらの中で最もよく知られているのが「有価証券報告書」です。報告される内容としては会社の経営指標の詳細な推移が記載され、過去5年間の財務状況やキャッシュフローなどの情報が盛り込まれています。また経理項目の中には、決算書の添付も義務ずけられています。投資家の企業判断基準として、上場会社に対しては、「有価証券報告書」の提出が義務付けられています。たとえ非上場であっても、普段から会社の財務状況やキャッシュフロー状況を正確に把握して、正確な「有価証券報告書」の作成および発行の準備をしておくということも、投資家からの信頼と広く資金を集めるという目的としては非常に重要です。
まとめ~開示書類をうまく活用して企業を分析
企業の成績簿ともいえる「開示書類」について、その目的と作成ルールのポイントを解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?とくに「有価証券報告書」は非常に重要な書類で、企業状況を数字で把握することができます。すこし数字が苦手という人は、まずは自分が気になる企業のIR情報をチェックするのも、企業情報の分析という意味ではいいかもしれませんね。